2013年05月
2013年05月01日
【第4回】遺言状~中身を具体的に書かないと遺されたものが困ります
21世紀になって間もない頃、父と私でこんな話をしたことがあります。
私「親父さあ、うちには遺産ってあるのか?」
父「この家以外、俺にそんなものがあるわけないだろう」
私「だろうなあ。家や土地は親兄弟できれいに分けられるものじゃないから、どうやって分配するのか親父のほうで考えておいてくれよ。親兄弟で喧嘩したくないからさ」
こんな会話を聞きつけた母は「親に対して死ぬ話をするとは何事だ!!」と私に激怒。
親父は息子から自分が死ねと言われたようで悲しんでいると。
そんなこと、言ってないんですけれど…。
近年は生前に遺言書を作成する人が増えていると聞きます。
骨肉の争いになるケースも多い遺産相続。キレイに割れる術がある、相続する人間が少数であるという場合以外は、自分の意思を示すためにも遺言と言う形できちんと遺産の分割方法を指示しておいたほうがいいかもしれませんね。
相続で揉めて身内が分解するのは、誰も望んでいないでしょうから。
数年後に父と飲む機会があり、そこで父から言われました。
父「お前から言われて俺もいろいろ考えてな。遺言書作ったわ」
私「そうか、よかったよかった。中身について聞くつもりはないけれど、そこに書いてある通りにするよ」
父「頼むぞ。父さんは家族みんなが仲良くいてくれることだけが望みだからな…」
さらに数年後、父は病に倒れ亡くなりました。あまりに突然の出来事で悲しむ暇もないほどでしたが、長く苦しまなかったのはよかったことだとも思っています。
喪中の慌ただしい日々がひと段落し、残った家族で相続の話が出ました。
父からの遺言もあるし、その通りにしよう。それが家族全員の意見です。
父からの遺言状を開けると…。
『この土地は家族が帰ってくる場所なので手放さないこと。父さんは家族が仲良く暮らしていくことが望みだ』
…………………えっ??
遺言ってこれだけ??
家族みんなが仲良く過ごしていくために意思を遺してほしいと頼んだら、本当に「仲良くしろ」という希望だけ遺した父。
呆れてしばらく誰も何も言えませんでしたが、税理士に頼んで土地を法定相続分で分割してもらい、共同名義で所有することになりました。
(母が1/2、残りを3人の子どもで1/3ずつ)
これが、のちのちの厄介事につながっていくのですが…。
☆今回の言葉☆
『遺言状』
死後の法律関係を定めるための最終意思表示。有効なものにするためには民法で定められた方式に則り作成しなくてはならない。方式はいくつかあるが、確実なのは公証役場で作ってもらう“公正証書遺言”でしょう。ちなみに私の父が作ったものはしいて言うなら“自筆証書遺言”にあたるでしょうが、どのくらい効力があるのかは疑問です…。
☆今回の言葉☆
『法定相続分』
遺言がない場合は遺産分割の話し合いをすることになりますが、合意が出来ない場合は民法で定められた形で遺産を相続します。相続人には内縁関係の人は含まれませんが、たとえば隠し子がいたり離婚した相手が引き取った子どもには相続の権利が。法定相続は放棄をすることも可能。また相続は資産だけでなく借金も相続します。
参考)国税庁/相続人の範囲と法定相続分
【第3回】それでもフリーランスには圧倒的に『賃貸派』が多い理由
フリーで仕事をしている人の収入(売り上げ)は、本当にピンキリ。かる~く年収1000万円以上稼いでいる人だってゴロゴロいるわけです。
それでも多くの人は賃貸生活を送っています。
なぜか?
答えは簡単。フリーランスには『社会的信用』がありません。
数十年前に比べればフリーという生き方の認知は高まっていると思いますが、認知と信用は別物。
納期を守りつつ質の高い仕事をし、ギャランティに対しても一切文句を言わずにクライアントから信用を勝ち取っても、社会的信用とは一切関係ないのです。
サラリーマンには信じられないかもしれないですが、賃貸マンションやアパートへの入居を断られることだってあるんですよ。それも、あほみたいな高級マンションではなくごくごく普通の家賃の部屋で。もちろん家賃を払う自信はあるのに。私もこれを2回経験しています。
『売り上げ1000万円のフリーランスより売り上げ500万円の会社社長のほうが信用力がある』
賃貸入居すら断られるんだから、銀行から戸建て建設やマンション購入のためにお金を借りるなんて至難の業。
一度、自宅近くに建つマンションのモデルルームを冷やかしにいったとき、営業マンが出てきて冷やかな目でこう言われました。
「うちのマンションって35年ローンだと毎月これだけの返済になるんです。大変でしょう…」
金額は私が払っている家賃+駐車場代より4万円ほど安い。それでも35年返済するのは無理と門前払いされるんです。
よって、売れてるフリーランスでも圧倒的に賃貸派が多くなる。こんな理由で家賃50万円の賃貸に住んでいるカメラマンだっているんです。
だったら会社にすればいいじゃん。当然そう思いますよね。
でもね、これが出来る人はフリーなんかにならず、独立と同時に会社を立ち上げています。
元来面倒くさいのが苦手な人が、フリーランスになっている。それも信用力のなさにつながるのでしょうね。
仕事はそこらの会社より真面目にやるんだけれど。
最近はノマドワーカーやフリーランスに憧れる人も多いと聞きますが、やるなら最初からきちんとしたほうがいいですよ。
☆今回の言葉☆
『フリーランス』
法人形態にせず一匹狼で仕事をしている人間のこと。仕事さえきちんとしていれば取引先からの信用はある程度得られるが、企業から見れば景気の浮き沈みによって簡単に切りやすい便利な使い捨て労働力でもある。また企業によってはフリーランスとは取引をしないというところも多々ある。それでもその企業と仕事をする場合、間に代理店が絡んできて上前を撥ねられる。