プラン
2013年09月18日
【第21回】「うち、できますよ」名乗りを上げてくれたハウスメーカー
せっかくフェアに出かけたのにぶちのめされて家路についた週末。
しかし月曜日に思わぬ電話がかかってきました。
「はじめまして。●●のMと申します」(たぶんハウスメーカーの名前、書いても大丈夫なんでしょうけれどね。念のため現段階では伏字にしておきます)
「はい……」
「この週末に展示場のフェアに来場されてアンケートをご記入されましたよね。そちらにメーカーから電話をしてもいいと書いてあったのでお電話したのですが……」
「そうですか。それは御苦労さまです。でもね、あなたの電話は無駄になりました」
「えっ??もう契約されるメーカーを決めちゃったんですか?」
「いえ、それはないです。実は……」
私は週末の出来事を話しました。土地は大丈夫だが接地する道が狭いのでトラックが入れない。話を伺ったところにはその場で全部断られたので、ハウスメーカーでは無理な案件だと。
途中であまり口を挟まずに話を聞いていた営業さんは、私の話が終わった後にこう言いました。
「一度、現場を見させていただけないですか?」
「はあ。でも来るだけ無駄だと思いますよ……」
「ほかのメーカーと同じようにダメなら私もその場で断りますが、お話を伺っている限り、うちではできるような気がするんですよ。これまでも狭い道に面した土地に何度も建ててきましたから」
「マジッすか???」
完全に諦めモードだった私に一筋の光がさしました。
このメーカーさんも展示場にあったのですが、いろいろ話を聞いてぶちのめされた私はここを覗かなかったんですよね。
とりあえずダメ元と思い、営業さんに実家まで来ていただくことにしました。駅で待ち合わせをし、10分ちょっとの道のりで状況を話します。もちろん、現在建築家さんにもプランを提案してもらっていることも。そしてそのプランだと正直建築は厳しいことも(なぜ厳しいかも含めて)。
実家につくなり、営業さんは言いました。
「楽勝ですとは決して言えないですが……。ここならうちでは十分お受けできる道幅です」
この会社は2×4工法を採用してますが、工場ではなく現場で枠組みを組み立てることもできるとのこと。そのため大きなトラックじゃなくても資材を運べるというのです。
ただし大きなトラックで一気に運ぶことができないので、近くまで来た後に小さいもので運んだり手で運んだりする。そのため小運搬の費用はかかってしまうが……。
それを含めて見積もりを出すこともできるので、一度プランを提案させてくれないかと言います。
一筋の小さな光はかなり大きくなりました。
プラン次第では建築家にお願いしたり計画を諦める可能性もある。
その場合でも費用はかからないということを確認し、お願いすることになりました。
こちらの要望もしっかり話し、とくに賃貸が必要であること。そこから安定した収入が欲しいことは強くお願いしました。
捨てる神あれば拾う神あり。
果たして、どうなることやら……。
☆今回の言葉☆
『小運搬』
小運搬と書いて「こうんぱん」と読みます。
でっかいトラックが入れないときに小さなクルマや人力で荷物を運ぶことを言います。このリンク先にもあるように、費用は運搬する距離に応じて高くなるようですね。それは営業さんからも言われました。うちは300mくらいある細い道のほぼ真ん中に位置するため、小運搬費用はそれなりにかかってしまうだろうとのこと。ちなみに建築はもちろん、解体時も小運搬が必要になるほか、重機が入れないので手壊しになってしまうそうです。そこでも余計に費用がかかると……。
これは誰に頼もうが同じこと。逃げようがないのです。泣きそう……。
2013年07月13日
【第16回】建築家さんのプラン『ブリッジのある家』
そんなわけで建築家さんからプランが上がってきたわけですが、諸般の事情により彼が作ってくれた図面をここに掲載することはできません(申し訳ないです)。
でも建築家さんが作ってくれたプランはすごく素敵なものです。
東西に長い土地(南が隣家に接近している状態)で光を存分に取り入れられるよう設けられた中庭。そこには現在実家にある紅葉と梅の木を活かせるようなデザインになっています。
母+妹宅は16帖のLDKとそこから中庭につながる形で置かれたウッドデッキ。
オーナー宅は18帖のLDK。中庭で開放的になっているため光が存分に差し込みます。
主寝室と子ども部屋は3階に。主寝室には10帖以上あるウッドデッキと繋がり、さらに賃貸部分の屋上もルーフバルコニーとして使えます。ここでバーベキューなんかしたら最高でしょう。
これはプランA。全部で3案提示いただいたので、それぞれどんな感じかをテキストで(図面出したいなあ)。
【プランB】
1Fは母+妹宅。
17.5帖のLDKに二人の寝室。
もちろん中庭があり、デッキテラスがふたつ。リビングのデッキテラスはそのまま中庭へと続く開放感。
1Fには母宅とオーナー宅で共用できる客間も設置。
そして2階がオーナー宅。
LDKはどーんと28帖! ゆとりあるアイランドキッチンに3帖ほどの パントレーも。
【プランC】
オーナー宅、母+妹宅をそれぞれ2階建てで配置。中央に大きな中庭を作ることでプライバシーに配置しつつコミュニケーションも生まれるように。
このプランの目玉は、オーナー宅の仕事部屋には中庭の上にかけられた“ブリッジ”を渡っていく。ブリッジを渡ることでオンとオフの切り替えが出来るように。
イメージはこんな感じですかね?ブリッジの下がリビングではなく中庭になるのです。
もうね、素敵過ぎるんですよ。とくにプランCのブリッジなんて(間違いなく『ブリッジのある家』とかいう名前で雑誌に掲載されたりするんじゃないかな)私も家内もうっとりです。
ただ……。当ブログで何度か書いたように、今回の計画は賃貸ありきの話。プランAの賃貸では収支バランスがよくない。BとCにいたっては賃貸の話は完全に消え去っています。
そのことを建築家さんにただすと……。
「家はあくまで家族のもの。家族のプライバシーを最優先に考えたほうがいいでしょう。賃貸併用になるとどうしてもプライベートは薄れます。それに賃貸スペースを作る分、予算も上がってしまいますよ」
そうはいうものの、母からの資金提供がない中でこんなに広い二世帯住宅なんか建てられるわけがない。
私「ちなみにこのプランだと建築費はどのくらいかかるのでしょう?」
建築家「正確な計算は現状ではまだできないので非常に大まかなイメージになりますが…。賃貸のついたプランAだと7500万円くらい、BとCは4500万~5000万円見ていただければ余裕だと思います」
この金額を言われた瞬間、私ごときしがないフリーランスが家を持つというのは夢のまた夢なんだと悟りました。
目の前ではしゃいでいる母と妹にどうやって諦めさせたらいいのだろう…。
☆今回の言葉☆
『家はあくまで家族のもの』
まったくもっておっしゃる通り。これは家を建てる際の根幹となるものでしょう。
プランAとプランB、Cでは2階建て、3階建てという違いはあるものの、賃貸がつくとなぜこれほど高くなるのか。ご存知の方も多いと思いますが、答えは水回りの数が増えるからです。キッチン、トイレ、お風呂はそれぞれ給排水が必要になります。この設備と工事にお金がかかるのです。
ちなみに2世帯住宅でコストを抑えたいなら、玄関・水回りを供用にすること。しかし互いのプライバシーはなくなります。
2013年07月12日
【第15回】建築家さんからプランが提案されました
初回打ち合わせから約3週間。建築家さんと再び会うことになりました。
私たちの話をもとに作成したプラン(計画案)が出来あがったのです。
彼はまずこう切り出しました。
「今回の計画はオーナー宅、そしてオーナー家族宅が絡む話になります。ここにゆとりを持たることから考えています」
あれ?
私の方では最初の打ち合わせで「今回の計画は賃貸ありき。そこが十分にとれないと話が始まらない」と話したはずなんですが……。賃貸が希望通りに取れていればいいのですが、建ぺい率や容積率もあるし、大丈夫かな。一抹の不安がよぎります。
そして図面が広げられ、建築家さんの説明が始まります。
母と妹は「へえ」「素敵~」と言いながら彼の説明を聞いています。一方の僕は目が点、甘玉は真っ白です。そこにはオーナースペースと比較すると、あまりにも小さい賃貸スペースがちょこんとあるだけ。広めの1K4部屋以上を考えていたのに、わずか16㎡の1ルームが申し訳なさそうにあるだけ。バスルームすらありません(一応シャワールームはついているけれど……)
「あの……」
建築家さんの話を遮り、思わず声が出てしまいました。
「賃貸スペースってこれだけですか?」
建築家さんは最後に説明しようと思っていたようですが、僕が口をはさんだので話を切り替えて賃貸の説明を。
「賃貸併用の場合、大切なのはオーナー宅の独立性です。そこで今回のプランでは外階段を使ってオーナー宅と賃貸部分を分けています。オーナー宅に必要なのはゆとり。すると今回の敷地ではこの賃貸スペースが限度なのです」
「マジっすか……」
とっさに頭でそろばんをはじく私。このスペースだと家賃はとれて一室6万円。4部屋で24万円ということは、毎月の持ち出しがかなり激しくなる。そこに維持費、部屋が埋まっていない時の持ち出し、下の妹への土地使用代(一緒に暮さない妹も土地の名義人になっているので)……。
無理じゃん、この計画。
☆今回の言葉☆
『計画案』
建築主の希望を聞き、実際に建築する土地にどのような建物を建てられるかを建築家が提案してくれます。第一回目はたたき台の意味合いも強いでしょうが、同時に私たちはこれである程度のイメージを膨らませます。コンペをしている場合はここで依頼する建築家が決まってくる場合も少ないくないでしょう。
初回提案は無料でお願いできる建築家も少なくないようですね。
どれだけ素敵なものを提案してくれるか。建築主にとっては夢が膨らむ時間であります。
2013年06月29日
【第14回】セットバックが必要です
ここでもう一つ建築家さんから話がありました。
「今回の計画では、セットバックが必要です」
これも覚悟していた問題。実際、実家前の道は随所でちょっと引っ込めて建築しており、道路の形が凸凹になっています。中には建て物は奥に建てているけれどひっこめた本来道路になる部分を庭の一部として使っているお宅もあります。
ただ、セットバックに関しては読みが甘かったこともありました。
それはひっこめる寸法が1mになること。
他のお宅を見ると50cmほど引っ込んでいるところが多いんですよね。どうみても1mも引っ込んでいない。なぜそうなっているかはわからないのですが……。
☆今回の言葉☆
『セットバック』
道路とは道幅4m以上が必要で、それより狭いものは“みなし道路(二項道路)”と呼ばれます。火事が発生した際に消防車が通れるようにという観点から、みなし道路を道路にするために、建て替え時には土地を提供する必要があります。これがセットバック。
セットバックするのはみなし道路の中心から2mになるところまで。今回の計画地は前面道路が2mなので1mセットバックする必要があります。
ちなみに道を挟んで両側に宅地がある場合は、お互い折半して4mに持っていきますが、片側にしか宅地がないような場所だと、自分のところだけで4mにしないといけないのでセットバックはかなりの量が必要になるとのこと。
セットバックした部分は道路なので、塀や花壇などとして使うことはできません。しかし現実には今回の道路をみても駐車場にしてたり、植木をたくさん並べていたり(チェーンもかかっているのでもしかしたらまだセットバックしていないのかな……)。
読売新聞の発言小町には、セットバックしたスペースは誰のものかなんていう話も出ていました。
そしてうちが計画している土地の道を挟んだ反対側のお宅は、どうみてもセットバックしている幅は1mもないんですよね。しかも道に面した部分の半分は半地下駐車場への進入口になっているので斜めになっています。これってありなのかしら……?
また現実問題としてセットバックしてしまうと土地が狭くなりすぎるために新たに家を建てられないという場所もかなりあります。
そういうお宅は古くなっても建て替えはせずリフォームでやり過ごしていたり。
今回うちは1mセットバックすることにしましたが、果たして私が生きている間に4mの道路が完成するのか……。甚だ疑問であります。
【第13回】第一種中高層住居専用地域です
2012年11月。相談した建築家さんから連絡が入りました。叩きとなるプランが出来あがったとのことです。
さっそく私、母、母と同居する妹とで建築家さんとお会いしました。場所は前回同様、実家です。
まず建築家さんから建築予定地に関する説明があります。
「こちらの宅地は“第一種中高層住居専用地域”になります」
聞いたことがある言葉ですが、それが具体的に何を意味するかはまったくわかりません。建築家さんが続けて建築条件を説明してくれました。それによると
●建ぺい率:60%
●容積率:300%(ただし前面道路の幅員により160%になる)
建ぺい率に関しては思っていた通りでした。しかし160%という容積率は私が考えている計画で大きな壁になる。直観的にそう感じました。
『2世帯+1Kクラスの賃貸を4部屋』が今回の計画の絶対条件。
果たして160%という容積率でこれが実現できるのか。
目の前の道が広ければ容積率300%で余裕をもって建てられるのに…。
道幅の狭さはこの後もいろいろなところで影響してくるのですが…。
これから土地を探してと考えていらっしゃる方は、予算が許すなら道幅が広いところをお勧めします。
☆今回の言葉☆
『容積率』
敷地にどれだけの大きさの建物を建てられるかを表したものが容積率です。こちらのサイトによると、前面道路幅が12mに満たないと容積率が小さくなるとのこと。うちの場合は300%が160%に。半分近くも小さくなってしまいます。
ただ地下室は全床面積の1/3以下なら、床面積及び建築面積から除外できるとのこと。都心の狭小住宅で地下室を作るというのは一時ブームになりましたね。私も一瞬考えましたが、地面を掘るコストや排水のことを考えると……諦めました。