トラブル・事件・問題点
2013年06月29日
【第14回】セットバックが必要です
ここでもう一つ建築家さんから話がありました。
「今回の計画では、セットバックが必要です」
これも覚悟していた問題。実際、実家前の道は随所でちょっと引っ込めて建築しており、道路の形が凸凹になっています。中には建て物は奥に建てているけれどひっこめた本来道路になる部分を庭の一部として使っているお宅もあります。
ただ、セットバックに関しては読みが甘かったこともありました。
それはひっこめる寸法が1mになること。
他のお宅を見ると50cmほど引っ込んでいるところが多いんですよね。どうみても1mも引っ込んでいない。なぜそうなっているかはわからないのですが……。
☆今回の言葉☆
『セットバック』
道路とは道幅4m以上が必要で、それより狭いものは“みなし道路(二項道路)”と呼ばれます。火事が発生した際に消防車が通れるようにという観点から、みなし道路を道路にするために、建て替え時には土地を提供する必要があります。これがセットバック。
セットバックするのはみなし道路の中心から2mになるところまで。今回の計画地は前面道路が2mなので1mセットバックする必要があります。
ちなみに道を挟んで両側に宅地がある場合は、お互い折半して4mに持っていきますが、片側にしか宅地がないような場所だと、自分のところだけで4mにしないといけないのでセットバックはかなりの量が必要になるとのこと。
セットバックした部分は道路なので、塀や花壇などとして使うことはできません。しかし現実には今回の道路をみても駐車場にしてたり、植木をたくさん並べていたり(チェーンもかかっているのでもしかしたらまだセットバックしていないのかな……)。
読売新聞の発言小町には、セットバックしたスペースは誰のものかなんていう話も出ていました。
そしてうちが計画している土地の道を挟んだ反対側のお宅は、どうみてもセットバックしている幅は1mもないんですよね。しかも道に面した部分の半分は半地下駐車場への進入口になっているので斜めになっています。これってありなのかしら……?
また現実問題としてセットバックしてしまうと土地が狭くなりすぎるために新たに家を建てられないという場所もかなりあります。
そういうお宅は古くなっても建て替えはせずリフォームでやり過ごしていたり。
今回うちは1mセットバックすることにしましたが、果たして私が生きている間に4mの道路が完成するのか……。甚だ疑問であります。
【第13回】第一種中高層住居専用地域です
2012年11月。相談した建築家さんから連絡が入りました。叩きとなるプランが出来あがったとのことです。
さっそく私、母、母と同居する妹とで建築家さんとお会いしました。場所は前回同様、実家です。
まず建築家さんから建築予定地に関する説明があります。
「こちらの宅地は“第一種中高層住居専用地域”になります」
聞いたことがある言葉ですが、それが具体的に何を意味するかはまったくわかりません。建築家さんが続けて建築条件を説明してくれました。それによると
●建ぺい率:60%
●容積率:300%(ただし前面道路の幅員により160%になる)
建ぺい率に関しては思っていた通りでした。しかし160%という容積率は私が考えている計画で大きな壁になる。直観的にそう感じました。
『2世帯+1Kクラスの賃貸を4部屋』が今回の計画の絶対条件。
果たして160%という容積率でこれが実現できるのか。
目の前の道が広ければ容積率300%で余裕をもって建てられるのに…。
道幅の狭さはこの後もいろいろなところで影響してくるのですが…。
これから土地を探してと考えていらっしゃる方は、予算が許すなら道幅が広いところをお勧めします。
☆今回の言葉☆
『容積率』
敷地にどれだけの大きさの建物を建てられるかを表したものが容積率です。こちらのサイトによると、前面道路幅が12mに満たないと容積率が小さくなるとのこと。うちの場合は300%が160%に。半分近くも小さくなってしまいます。
ただ地下室は全床面積の1/3以下なら、床面積及び建築面積から除外できるとのこと。都心の狭小住宅で地下室を作るというのは一時ブームになりましたね。私も一瞬考えましたが、地面を掘るコストや排水のことを考えると……諦めました。
2013年06月19日
【第8回】予算2000万円の建築計画が突然5000万円オーバーの話に
まったく……とんでもないことを言いだすものです。母は実家を壊して二世帯にするのでなければ、土地の使用許可を出さないという。
前にも書いた通り現在の土地の名義は母が半分、残りの半分を兄妹で3等分しています。そのためこの条件を飲めというのが母の言い分。
単純に考えて、2000万円の家が2棟で4000万円。そこに解体費用がかかります。
実はこの解体が曲者でして……。
父は実家を重量鉄骨3階建てにしました。まだ幼かった私にも「うちはな、鉄骨だから大きな地震が来たって大丈夫なんだぞ!」と自慢していました。
鉄骨の解体は木造とは比べ物にならない金額が必要に。
たまたま母の知人に解体屋さんがいたので聞いてみたところ、「現場を見ていないから超ざっくりした読みだよ」という前置きがついたうえで出てきた金額が1000万円!(←お友達値引き前)。ただし建物にアスベストが使われている場合、金額はさらに高くなると…。時代を考えれば間違いなくアスベストが使われている建物。ということは5000万円以上かかる。
5000万円といったら、山手線沿線に3LDKの新築マンション買えるし。そもそもそんな冒険しなくても2000万円ちょっとで中古マンションを買えばすむ話。
と言っても、母にすれば孫(息子はおまけ)と一緒に住むという夢のような話が舞い込んできたわけで、簡単に引き下がるわけがない。
「マンションを買うなんて、私は認めませんよ!!!」(←何をだ。マンションなら共有名義時のような許可はいらない)
僕が気にしたのは、親父の気持ち。
「この家(土地)は家族が戻ってくる場所だから、売らずに守りたい」
いつだか2人で飲んだ時、そんな話をしていました。
とはいえ、5000万円ものローンを組むことなんて難しい。どうしよう…。
そんな時です。ふと「賃貸くっつけたらどうかな」とひらめきました。
まるで「メロディが自然に上から降りてきた」というアーティストのような感じでです。
仮に1DK家賃9万~10万円の部屋を4つ作ったら月に40万円の収入。実家そばは4畳半一間をリフォームしたアパートが多いので少し広めの部屋は需要もあるはず。世間には一括借り上げという便利なものもあるというし。手数料を2割取られても30万円以上残る!
もちろん賃貸スペースを作る分予算も上がりますが、いろいろ調べてみることにしました。
☆今回の言葉☆
『解体』
更地に家を建てるだけなら話は早いのですが、古い建物を解体するとなると途端にややこしくなります。
解体では建物を壊す以外にも、養生、足場組み、廃棄物処理などさまざまなことが必要に。
検索上位に出てきたこのHPを見ると単純計算で坪単価4.5万円ほどかかるようですね。もちろん現場の状況により金額は大きく異なります。
【第7回】今度は親から「バカ」と言われました。
実家に戻り小さいながらも“マイホーム”という基地を作ろうと決心した私。
これを母親に話すときはかなり勇気が必要でした。今まで嫁姑問題を解決できず、親を罵倒したこともあったのですから。
しかし決断したからには早い方がいい。実家に足を運び、勇気を振り絞って母に「目の前に小さい家を建てたい」と話したところ……。
「あんた、バカ?」
驚くような答えが返ってきたのです。
母は孫と一緒に暮らすことを望んでいたのに、なぜ? こっちは親孝行の意味も含めての相談だったのに。
母の言い分はこうです。
●実家はすでに築40年以上。ただでさえ狭い土地に新しい家を建てたら古い家を壊すときにどうするんだ。
●しかも前に新しい家を建てたら奥の土地を売りたいという話になったときに売れないろう。
確かにそうですが……。それを言われちゃ前に進めなくなるでしょう。
しばし考え込んでいると、再び母がこう言います。
「(今の古くなった実家を)壊して二世帯を建てるのはどうだ?」
なるほど。それは考えませんでした。立替えと新規建築を一度に出来るなら、母が懸念する問題も解決できそうです。
私「いいアイデアかもしれないね。で、(母は)いくらくらい予算があるの?」
母「予算? 葬式でお金全部使っちゃったし、そんなものないわよ」
私「???? ないって……。実家壊して家を建て替えるんだろ?」
母「それくらい、あなたがなんとかしなさいよ。家を建てたいんでしょ」
何だか思わぬ展開になってきました。。。
☆今回の言葉☆
『共有名義の土地に家を建てる』
ひとつの土地が複数の名義になっていると、建築する際には自分の判断だけではできません。他の名義人の同意を得なければならないのです。これは親兄弟だろうと同じ。他にも土地の利用形態を変えたり形質変更(宅地造成、土地の掘削、土壌の採取、開墾など)する場合も名義人全員の同意が必要。
2013年06月13日
【第6回】嫁姑問題が解決~マイホームへの最初の一歩
注文住宅の情報誌を見ていると『2000万円以下で建てる』なんて特集が組まれていたりしますよね。
土地さえあれば、住宅の予算はそれくらいでもいけるものなんですね。
私が現在借りているマンションは山手線沿線にありますが、建売のいわゆるペンシルハウスが土地付きで4000万円ちょっとで出ていることも珍しくありません。おそらく価格の半分は土地代でしょう。
実は実家にはこのようなペンシルハウスなら建てられそうなスペースがあります。結婚当初からここに家を建てさせてもらおうということを考えていました。
設計料などを現金で払い純粋な建築費2000万円をローンにすると、返済期間30年固定金利2.5%で計算しても月々の返済は約8万円。現在の家賃が14万3000円ですから、6万円以上の節約に。固定資産税や修繕費を考えたって、かなり楽になります。返済期間を15年に設定しても現在の家賃と同等の返済額で済みます。
現在借りている部屋だと子供が「自分の部屋を欲しい」と言い始めた時に部屋がありません。子供部屋を作るには私の仕事部屋を外に借りるか、今より広い家に引っ越すか。いずれにしても家賃は20万円コースになる。
家を建てれば狭くても子供部屋を考えた作りにすることができます。
なのに10年以上も実行に移せなかった理由。
それは嫁姑問題でした。
トラブルを上げたらそれこそきりがありません。ほとんどは姑の理不尽な攻撃が原因でした。そのたびに妻は「(姑と)一緒に住むことは出来ない」と涙ながらに言います。
私ひとりでは問題を解決するのが難しく、父に何度も相談する始末。すると母は一瞬落ち着くものの、家の話を出来そうな雰囲気になるとまたトラブルが勃発し、振り出しに戻るの繰り返しでした。
ところが父が亡くなったのを境に急に母の棘がとれ、嫁姑の関係がうまくいくようになりました。
不思議なものです。私は父が何か力を貸してくれたのかなと感じています。孫のそばにいるということを叶えられなかったのは今でも悔やんでいますが。
父が亡くなって1年後。
あらためて妻に実家のそばに戻ろうと思うという話をしたところ、わかったという答えが。これによりマイホーム建築の話が一気に動くことになったのです。
☆今回の言葉☆
『2000万円以下の注文住宅』
検索すると「坪単価20万円以下からOK」というようなページが多数見つかります。建築家でもこのようなプランを売りにしている方が多くいるようです。
低予算でも家を持てるのは嬉しいこと。そんなページを見ていると楽しいですよね。
ただ、設備などがどこまで価格に含まれているかなどは注意深く確認したいところ。
ハウスネットギャラリー『1000万円台で建てた家』